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| 2006年03月02日 | ユリイカ 「翻訳作法」 |
ユリイカという「濃い」雑誌が翻訳を特集するということで、買いました(去年のことでですが)。内容は予想通り、濃いものでした(笑)。もちろん、いい意味で、です。
特集名は翻訳作法といい、その名の通り数十人の翻訳家の「翻訳作法(翻訳するにあたって心がけていること)」などが紹介されているのですが、私の一番のお目当ては柴田元幸さんの翻訳作法でした。翻訳夜話もそうなんですが、この方の「翻訳論」が好きなんです。
柴田さんはいわずと知れた東大教授であり人気翻訳家。アメリカ文学がご専門です。私はアメリカ文学自体にはあまり興味はないし、自分が翻訳しているものも全然違った分野の本なのですが、とにかくこの方の「翻訳論」は勉強になるというか、頷かされます。なので、これまで柴田元幸さんが「翻訳(方法)について語っている本、雑誌」は必ず買ってきました。ある意味でコレクションですね。あっ、「必ず」といっても、知ったものについてだけなので、存在そのものをしらない雑誌なんかはまだまだあると思いますが(ちょっと弱気)。
何年か前には講演を聞きにいって、「句読点のつけ方」について質問したこともあったなあ。柴田さんは句読点にうるさい方なんですよ。これは色々なところで語っておられます。
他にも「翻訳は自己消去だ」とか、「原文のカメラワークを壊してはならない」とか、数々の「名言」があります。このユリイカでも、これらのことについては、やっぱり語られていました。(ので、どういうことかを知りたい人は、この本を読んでくださいね)。ですが、少なくとも私はこの本で初めて聞きました。
柴田さんが「翻訳ほど受験英語が報われるものはない」とおっしゃっていたのを。これ、まさに私もそう思います。
よく、「翻訳は日本語が勝負だから、英語力がなくても大丈夫」なーんていう言葉を翻訳学校の勧誘文なんかで目にするんですが(英語ができなくても大丈夫だよ、という意味なのでしょう)、私はそれは違うんじゃないかなと思ってます。日本語が勝負になるのは、英語力(英文解釈力、英文読解力)がきちんとできていれば、の話じゃないかと思うんです。
そもそも、書いてある英文の意味を取り違えていては、それを「良い訳」にしても意味がないですよね。そういう点では、英語を少なくとも「読んで理解する」力は最低限必要。「日本語力を磨く」なんていうのはその後でしょう、と常々思っていました。だから、柴田さんが「翻訳ほど受験英語が報われるものはない」とまでおっしゃっているのを聞いて、うれしくなったのです。
「英文法」って、翻訳するには本当に大事ですよ。ここをおろそかにしている人って意外と多い・・・というのは、いっちょ前に翻訳の学校で先生をしていて思うことです。ということで、翻訳を職業として考えておられる方は、信頼できて使いやすい文法書というものを1冊持たれることをお勧めします。私が使っているものは、また別のエントリーで紹介しますね。
このユリイカですが、他にもおもしろい記事はたくさんあったんですが、ひとつ思ったのは「翻訳者は「自分の文章」を書くときにも、こだわる人が多いなあ」ということ。翻訳者のエッセイがいくつかあったのですが、タイトルに気合が入ってるんです。「銀幕の片隅で(次数が足りないとさけぶ)」とか「翻厄こんにゃく、或いは命がけ」とか(笑)。
やっぱり、「翻訳だけでなく、自分の文章もうまいよね、面白いよね」って思われたいですもんね。もちろん、私にもそういう気持ちあります。まだまだ両方とも修行が足りませんが。
ちなみに、柴田元幸さんは、やっぱりエッセイもおもしろいです。舶来文学 柴田商店―国産品もありますとか、生半可な学者―エッセイの小径とか、猿を探しにとか。
私が柴田さんの「翻訳論」を必ず読んでいるのって、やっぱりそれが「読ませる」文章なんだからなんだろうなあ。つまらない、難しい文章だと、いくらいいことが書いてあっても、納得させられないし、頭にも残らないですしね。
投稿者:尾原美保 00:24 | コメント (0) | トラックバック (0) | この記事のURL
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