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| 2006年07月11日 | 九龍城探訪 |
以前に訳した写真集。1993年に取り壊された香港の魔窟「九龍城」について、そこで暮らしていた人々へのインタビューから、その全貌に迫っています。
この写真集はいろいろな意味で、思い出、思い入れがあります。まずひとつには、編集者さんと何度もお会いて、やりとりしながら進めたはじめての本だったこと。それまでにやっていた本は、出版社側の方とはメールのやりとりが主で、実際に会ってお話ししながら進めることがはじめてだったんです。
「本の制作に関わっているんだな」という実感を持つことができましたし、いろいろな意味で勉強になりました。
そして、もうひとつは・・・自分の「思い込み」に気づいたこと。この本は「写真集」なので、私がよく携わっている「ビジュアルブック」の一種だといえますが、ひとつ大きく違うところがあります。
それは、「インタビューが中心」ということ。九龍城で暮らす人々の写真が載っていて、その人が語った言葉が載っている。つまり、それらは「話し言葉」で訳す必要がありました。
これは、「小説」などの翻訳にはよくあることでしょうが、私がやっているビジュアルブックや実用的な本にはあまりないことです。こうした本には「説明文」しか出てきませんから。そして、私がこうした本の方を好んでいたのは、ズバリこれが理由でした。
翻訳学校の授業などで、「会話文」をやったことはあるんですが、どうもしっくりいかなくかったんです。だから、説明文中心の方が向いているな、自分ではそう思っていました。この本をやるまでは・・・
この九龍城の本は、インタビューだけでなく、説明文もありました。建物の概要説明、歴史的な背景、取り壊してからの話・・・私は「こういう方が訳しやすいのにな」と思いながら、苦手である会話文に取り組んでいました。
ところが、納品後、担当の編集者さんにこう言われました。
「説明文より、インタビューの方が良かったです」と。
がーん!!えーっ、私、説明文の方が得意なはずなんですけどーっと言ったのですが、あっさりと否定されました(涙)。確かに「赤入れ」(編集さんが私の訳したものを見て、赤ペンで修正箇所などを指摘してくれます)された原稿を見ると、説明文のところは真っ赤!それに比べると、写真つきのインタビュー記事の方が、「赤」が少ないではありませんか。
ショックを受けている私を見かねたのか、編集者さんはこうおっしゃいました。
「インタビューの方は、写真に写っている人とそのしゃべり方が合っていると思いましたよ」と。
その言葉で私は気づきました。確かに、「会話文」を翻訳するのは苦手なんですが、写真を見たり、文章を読みながら「この人は、どういうしゃべり方をするんだろう?」と考えながら、話し方を考えることは、とても楽しかったんです。
ということは・・・私は、「会話文」や「説明文」という区分ではなく、ビジュアルブックにある写真などの「イメージ」を頼りに文章を考えていく過程が好きだったんだ!それに気づきました。
「会話文」であろうと、「説明文」あろうと、関係ない。イメージと言葉の結びつき・・・これが私にとってのポイントだったのです。
このことに気づいたのは、本当に大きな収穫でした。それ以来、仕事だけでなく、日常的なことでも「こういうことは苦手だから・・・」という思い込みで「食わず嫌い」をしなくなったように思います。やってみると、新たな発見があるかもしれませんからね。
ブログをはじめたのも、そこに通じます。最初は苦手意識、不安もあったのですが、それ以上に「何か得られるかも」という好奇心の方が勝ちました。もちろん、今ではやってよかったなーと思っています。何ごともチャレンジですね!最初はハードルが高いんですけどね(笑)
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なるほど!!・・・おはらさんのその心がけというか柔軟さがいいのだなあ・・・見習いたい点多々です^^ ブログ、PCについてはもう非常に同感!!そのうちお会いできそうなのもホントにとても楽しみです^^